際物

 狂言師和泉元彌さんが「ハッスル・マニア2005」への参戦を正式発表した。プロレスの興行らしい。自由・資本主義の社会だから大いに結構。金儲けがお上手なので拍手を送りますが、ある種の違和感を覚えます。それは私だけでしょうか。
 和泉さんは2001年のNHK大河ドラマ北条時宗」で主役を演じて脚光を浴びた。古典芸能の役者さんが本業だけで生計を立てていくのは大変らしい。その保護が目的でNHKは一時期、歌舞伎や狂言の役者さんを優先して起用した傾向があったのでは…。
 中村玉緒さんのお父さんの雁治郎さんは生前、たくさんの映画に出ていた。副業として出ていたかもしれない。現代では昔ほど映画は盛んではないので、古典芸能の役者さんが本業の傍ら映画出演する余地は少ないのかもしれない。
 プロレスも商売なので悪しく言うわけにはいかないが、人を殴ったり蹴ったりブチのめしたりしている。
 餅は餅屋、腐っても鯛、いろいろな言い方が出来るが、和泉さんは狂言役者のほうが上品でいい。今回の事態、一時的な流行を当て込んで売り出す“際物”感を拭えない。