法の裁き

 俳優の小林旭さん。デビュー50周年記念のテレビ番組を見た。司会の徳光和夫さんが彼を“正義の不良青年”とか呼んでいた。世の中、変われば変わるもんだ。
 しばらく前、NHKがBSで小林旭さんの映画を放映した。僕が小学の上級から中学時代、彼の映画が流行っていた。トッポイ作品ばかりで少し不良がかった仲間たちの間で人気があった。見たあと英雄のような気分になった。先生やPTAからは叱られた。
 「南国土佐をあとにして」−主人公は刑務所帰りだ。更生しようと努力するが昔の仲間が彼の“ダイス転がし”の腕を当てにしてなかなか足を洗わせてはくれない。−そんな大筋だったと記憶している。
 間接的な知人に刑務所帰りがいる。世の中では性犯罪があとを絶たない。その人は女子高生を暴行して現行犯逮捕されたとのこと。服役して帰ってきた。人から勧められた信仰によって性根を入れ変え生活態度が改まった。
 先日、近くのコンビニで何年かぶりで顔を合わせた。「オッス!」と言った。僕は一瞬おかしな気分になったが改めて考えた。それは人生のやり直しである。確かに悪事を働いた。そんなろくでなしは世間からは相手にされない。だが法の裁きを受け罪の償いを済ました人に後ろ指を指すのはよくない。暖かく見守るのが筋だ。
 先の選挙、辻本、鈴木、中村らが復活した。禊は済んだ。人間だれしも失敗はある。反省して出直せばいい。プロ野球ダルビッシュ有君もそうだった。
 人生、先は読めない。丁半博打みたいだ。裏目に出たらやり直せばいい。

夕方、鈴虫が鳴いている。