根絶やし

 小泉首相は、織田信長に似ている。マスコミの一部は、かれの手法を、そう評している。郵政民営化法案に反対した亀井静香氏らは、解散はないと判断していたが、甘かった。解散は実行され、刺客が放たれた。亀井氏は、小泉さんを、古代ローマの暴君ネロと同じだと云った。ネロは、奴隷剣闘士と猛獣とを、競技場で戦わせ、ローマの民衆の前に晒した。亀井氏は幸い、当選したが、ホリエモンに殺られそうになった。野田聖子さんらは、自民党からの除名が具体化しつつある。                           
 信長は、天下布武のため、数々の所業を成した。長篠の合戦のあと、勢力が衰微した武田の一族の女・子供にいたるまで、全部殺した。根絶やしにした。比叡山延暦寺をも焼き討ちした。
 今回の、一連の小泉劇場で、彼は持てる権力を小出しにせず、一気にまとめて使った。戦国時代なら、合戦になるが、現代では、そうはならない。彼は、極端というか、荒療治をやったが、正誤は、もうしばらく、推移を見ないと、分からない。              西南の役以来、日本で、内戦は起きていない。今後も、武装蜂起など、まず考えられない。今回の小泉さんの行動は、暴走だろうか。私は、そうは思わない。すべて、議会制民主主義の、枠内で行なわれている。
 蛇足だが…。私は、人間の歴史が、殺し合いのそれだと、理解できたのは、大人になって、だいぶ後だ。学生時代、歴史で、“政権の交代”などと習っても、ピンとこなかった。その言葉の背後に、人間同士の凄惨な殺し合いが、厳然と潜んでいるのが、理解できなかった。小泉さんの、巧みな政治手腕を期待する。

            高原にリンゴの香る秋の風  新聞に、そうあったが、都会ではこういう情緒は、味わえない。今晩は、月見酒なぞ、いかがでしょうか。