同窓会

 高3の同窓会の誘いがあった。出ようか迷ったが結果的に断った。僕には懐古趣味はない。それと最近、自ら求めて隠遁に近い生活をしている。特別会いたい人はいない。
 しかし…。H君は、どうしているかな。仲が好かった。僕は進学したがH君は就職した。小さな機械工具店のセールスマンになった。看板が架かっていたのでその店は知っていた。車でその店の前を度々通ったが、H君にいちいち声をかけなかった。だんだん疎遠になり、しまいには音信不通になった。看板が消えた。H君の勤める店が潰れた―。風 の便りでそう聞いた。もう遠い昔のことになってしまった。
 H君が僕に会いたがっているという。僕は同窓会など眼中にない。出席は時間の無駄だ。
 H君許してね。僕は心の狭い人間です。