南都雄二

 しばらく前、ミヤコ蝶々さんの遺産を巡って、遺族が争いをしている、と報じられました。南都雄二さんを思い出しました。
 蝶々さんは、若い頃、ヒロポンにのめり込み、体を蝕まれたそうです。その時,介抱した青年が、弟子の吉村朝治。後の、南都雄二です。僕の、好きな芸人の一人です。
 蝶々さんは、漢字がほとんど、読めなかったそうです。「これ、何ていう字?」と聞くこともしばしばで、それが、南都雄二の芸名の由来だそうです。
 彼は,映画で、勝新の「続・悪名」に出ていました。遊郭からの女の“足抜き”が、話の大筋でした。もちろん、脇役で、“チェリー”と呼ばれる、水商売の女のヒモを演じました。チェリーが「あんたみたいな、弱い男は嫌いや!朝やんみたいな、強い男がええ。」と喋くるシーンがあります。八尾の朝吉の強さが、いっそう、目立ちました。
 南都雄二さんは、地味で弱々しい存在でした。