自爆テロ

 巨匠・黒澤明の作品に「赤ひげ」がある。その中に貧困のために一家心中する場面がでてくる。赤ひげは社会の病気のほとんどが貧しさに起因すると言う。
 インドネシアの代表的観光地バリ島で十月一日、爆発事件が起き多数の死者がでた。東南アジアを地盤とするイスラム過激派ジェマ・イスラミア(JI)による犯行の可能性が強いとみて捜査が進められている。自爆テロらしい。
 発生の原因に貧しさがあると思う。「こんな生活なら、生きている意味はない」との厭世観に心が支配され自分が信ずる神様のところへ行こうと、決意するのだ。組織のリーダーがいくらかの金をやっているかもしれない。いわば“自爆賃”だ。その金で残された家族が一時的にでも潤う。もしそうなら、日本の昭和初期の不況時に貧農の娘が遊郭に売られた話とどこか似ている。
 人間社会は喰うか喰われるかである。米国vs.アルカイダの関係は、そうではないかな。
 世界の紛争を考えるとき、トランプ遊びのババ抜きを思い浮かべる。メンバーはだれもがババを相手に持たせようとする。アルカイダは「俺たちは最後にババを引かされる役はゴメンダ」と叫んでいるのかも。