女性エコノミスト

 この頃では日本に女性エコノミストと呼ばれる人はたくさんいる。われわれの学生の頃は英国のジョーン・ロビンソン女史ぐらいだったのではないか。当時、その著「経済学の曲がり角」(原題:ECONOMICS)を手にした私は、内容もよく理解できないのに妙にインテリぶっていたのである。
 同志社大学大学院の浜矩子先生。EUの専門家だそうだ。その著書を読んではいない。講演も聴いてはいない。だが、しばしばテレビ・新聞に出ておられる。お話は一部聞いている。ストーリー・テラーのようで一見、経済学者とは思われない。三菱総研ロンドン時代にお芝居をたくさん御覧になったとのこと。彼女の話は面白い。「日本経済は依然、踊り場にある。コリャコリャと踊りながら、階段を上るか下がるかまだ分からない」と発言されたときは、その大物ぶりを感じた。
 1967年の秋、当時まだ基軸通貨の一翼を担っていた英ポンドが切り下げられた。私はどんなことか分からなかった。「貿易論」の先生が銀行に呼ばれて授業が休講になった。
高校生だった浜矩子さんはこの出来事で経済問題に関心を持ったという。