健診の過剰と適正の境目

 ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが直腸ガンで入院した。三年ぶりの人間ドックで見つかったとのこと。最近、人間ドックが話題になっている。二度ばかりテレビで特集番組を見た。
 「なぜ年一回受診しないの」となるが、必ずしもそうは思わない。毎年受けていても病気になる人はいるし、全く受けていなくても元気な人はいっぱいいる。健康で日常生活が支障なくいっているなら、それほど病気の予防に神経質になる必要はない。
 かつて胃を悪くして総合病院に通ったことがある。私と年恰好が同じでいつも診てくれていた先生がいたが病気で死んでしまった。“医者の不養生”などというつもりはない。その先生は素人の私が見てもすぐ分かるほど病的に見えた。顔色が特に青かった。泣きそうな声で「ワシらでは分からんわ」と、ポツリ漏らしたのが耳に残っている。
 過剰健診は嫌いだ。