第三の道

 私が小学生の頃、英国について学んだことは「ゆりかごから墓場まで」という言葉で象徴されていた。福祉を充実させて国民の生活を政府が守るということだった。
しかし歴史は、その政策が間違いだと証明した。英国は過保護によって「英国病」と呼ばれる病気に罹ってしまった。
 英国は私にとって、憧れだった。なんだか米国より好きだった。「ビートルズ」や「007」の流行はさらに私の英国好きを助長した。英国病を治そうとサッチャーさんが登場した。竹下内閣の時に来日した。総理の奥さんから最新のトースターをプレゼントされ喜んでいたのが印象に残っている。
 サッチャーさんの「小さな政府」政策も歪んだため、保護政策でもなく完全な自由競争でもない三つ目の選択肢としてある現実勢力が台頭した。トニー・ブレア率いる労働党政権である。1997年5月の選挙で勝利し「第三の道」と呼ばれる新社会民主主義を政策理念として掲げたのである。
この「第三の道」が日本に当てはまるかどうかが、いろいろと議論されているようだ。