保険屋

明治安田生命で大量の不正が発覚した。契約の手間を省いて営業成績を上げるのが目的だった。どんな商売もそうだがノルマを達成しようとして行き過ぎてしまう。競争社会は厳しい。
 私の知人で10年ほど前に56歳で胃がんで亡くなった人がいる。生命保険が嫌いだった。営業のおばさんがしつこくて鬱陶しいと言っていた。見舞いに行った際「保険に入っておけばよかった」と愚痴を零していた。私は十分に保険の恩恵を受けた。足を折って入院した折も、車で物損事故を起こした時も助かった。3泊4日の海外旅行に行った際、その期間限定の保険に空港で入った。「競馬のノミ屋みたいだな」と思った。事故に遭遇したら払う、当たったら払う。どちらもはずれの可能性の方が大きい。よく似ている。
 火災保険について。子供の頃お祖母ちゃんから聞いた話―「火事になって家が燃えてしまっても、柱が一本残っていれば保険金は下りないよ」―本当のところを私は知らないが。
家内に聞いたら「今はそんなことはありません。きちんと払ってくれますよ」と言った。
 明治の文明開化で保険が日本に入ってきた時、福沢諭吉がインシュアランスを「人の一生請負のこと」と翻訳したと誰かが言っていたのを記憶している。
 保険は万が一のときのために絶対に必要だ。日々の生活において安心感が全然違う。兎に角、契約する時は恵比寿様の顔、支払い時は閻魔大王の顔。そんな保険屋さんはお断りですよ。