一枚の絵

 10月の下旬に家族旅行をした。1泊2日で神戸・大阪が目的地、有馬温泉に宿を取った。メンバーは家内、娘、義母それに私の4人だ。私は元来イン・ドア派なので自分から誘ってまで旅に出かけることはない。いつも連れて行っても貰う方である。神戸・大阪は初めてだった。
 此れまでの旅行を思い出してみて、心に留まっていることがある。それは必ずと言っていいほど旅先で美術館に出くわすのである。一例だけ挙げれば、山梨県立美術館だ。ルノアールやミレーを凄いと思った。今回、神戸の異人館に行った。「大したことないなあ」と言うのが実感だった。明治村と同じようなもんだ。だが、やはり「あっと驚く」瞬間はあった。うろこの館のうろこ美術館でロシアの絵画を初めて見た。その中の1枚に“演説するレーニン”の姿を描いた作品があった。新鮮な感動があった。それは映画「レッズ」にも出てくる(同映画は81年の米作品、ロシア革命と革命を記録した米ジャーナリスト、ジョン・リードの生涯を描いている)。しかし絵画の方が受けた感じが強かった。
 ソビエトの誕生と崩壊が20世紀最大の歴史上の出来事だと評価する人がいる。実際、私もそう考えている。そういう前提で見たので大きく心を動かされたのだろう。