インシャラー

 パリが燃えている。僕が連想したのは歌手アダモの「インシャラー」と作家・永井荷風(遊び人)の「ふらんす物語」である。フランスに行ったことも住んだ経験もないので生活の実感からは何も分からない。
 報道によると、2週間くらい前アラブ、アフリカ系の移民が多いパリ郊外で二人の少年が感電死した。それをめぐる当局の処理への不信感から今回の暴動が起きたといわれる。失業や貧困、教育や文化の違いなどに対する不満が一気に噴出したのだ。怒れる若者たちによる焼き討ちの炎は、欧州全体を覆う移民問題を炙り出している。
 ところで、日本では少子化が懸念されている。人間の数が減れば経済活動の生産も消費も小さくなるのは当然だ。将来、13億の人口を抱える中華人民共和国から労働力として洪水のように人が流入してくるやもしれない。政治家は目先の政策、例えば歳出を抑制して増税を導入するなど、その時期についての決断を迫られている。だが人口問題のような長期の対策(国家百年の計かな)も重要だと改めて認識することと思う。フランスで今起きていることをもって他山の石としなければならない。明日はわが身の問題になるのだ…。