良い死に方

 本田美奈子さんの急性白血病による死のニュースには衝撃を受けた。先日、秋の定期健診を受けた。日常生活では特に血圧に気を遣っている。測定の際のほんの短い間だったが、そのおばさんと冗談っぽい話をした。「死ぬ時は苦しまずにころっと逝きたい」と僕。「最近はそれができません。病院は延命治療をしていますから」とおばさん。
 僕は10年ほど前、母を乳癌でなくした。末期の苦しみを目の当たりにした。どうしようもできない自分に歯軋りをし、地団駄を踏んだ。僕は未だ死と直面するには若い年齢だが時折、自分はどういう死に方をするのかなとの思いが頭を掠める。そんな時、少しでも良い死に方をしたいと思う。家内が看病に疲れ果ててしまうのは困るが、できれば自宅で死にたい。身辺を整理し遺言を残し、この世でやるべきことはやったとの自覚も欲しい。
 先々ボケるが勝ちで認知症になるのか、癌にはなったが緩和ケアをしっかりして貰って天寿を全うしていくのか、あるいは突然死するのか今の時点では何もわからない。
 結局、人生を精一杯生きて全うすることが良い死に方といえるのではないか。如何に死ぬかは如何に生きるかと同義ではないか。死ぬのもなかなか難しい。