国家の難局

 北方領土。日本は魚にエサだけ奪われて何時まで経っても釣ることが出来ない釣り人のようだ―。小泉首相とロシアのプーチン大統領の会談結果についての報道に接し、私はそう思った。ロシア経済は今好調で、それがプーチン大統領の強気を支えたとも伝えられている。日ロ間では戦争によってしか領土の移動は起きていない。沖縄は平和時に米国から返還されたが、ロシアにはそれは到底望めそうにない。幾らお金をつぎ込んでも食い物にされ、蟻地獄に堕ちていくだけではないのか。
 返還運動をしておられる方たちの落胆ぶりは計り知れないものがあろう。実生活に直接の関係はないにしろ私は日本の一国民として、とても悔しい思いがしている。
 北方領土の返還交渉は、現代日本の最大の政治的難局である。日本史上、困難な局面はいろいろあった。例えば、幕末から明治の揺籃期、日本は外圧を受けた。罷り間違えば香港を奪われたシナのようになってしまうと懸念された。キリスト教の扱いの問題で英公使パークスと談判して見事に勝利した大隈重信の話も有名だ。
 北方領土問題を解決できる大政治家の登場を国民は渇望している。