笑いの見方・考え方

 中学3年生のときのクラス。ある生徒が「笑いは人生の花」と書いたビラを貼った。社会科の先生がそれを見て「ホウッ」と云ったのが記憶の片隅にある。僕は以前に自分の正体をお笑い人間だと書いた。先日、気になる記事が掲載されていた。
 某国の国会内で、酒の匂いをプンプンさせている男の閣僚の一人に対して女性議員が注意した。男は周囲を笑わせようと<冗談のつもりで>「私の酔いは明日になれば醒めるが、あなたのブス様(ザマ)は一生直らない」と云った。ところが当然なのだが、その女性議員は笑うどころかずいぶんと傷つき、結果、内閣が総辞職したとかしないとか…。ある作家によると、笑いの本質は優者の劣者に対する爆発的な優越感の吐露で、その根本には差別意識があるという(僕は必ずしもそうは考えないのだが)。だから、作り手はその辺りを余程しっかり配慮しないといけないらしい。
最近お笑いブームが到来している。何年かに一度、周期的に巡って来る社会現象かもしれない。中には聞くに堪えないグロテスクな話もあるみたいだ。昭和初期、横山エンタツは「今の漫才はあまりに猥雑で下品である。日本中の老若男女が誰でも共感し、家族で笑える無邪気な笑いを取る漫才がしたい」と云って花菱アチャコとともに、実際、そういう笑いを作り上げた。彼らが生きていれば現状についてどんな見方を示すだろうか。「もう、無茶苦茶でござりまするがな」と言うかなあ。