わらしべ長者

 立身出世をして有名になりテレビに出ると、世間は、やれ、現代版の信長だの秀吉だなどと持て囃す。ライブドアの堀江氏が現今での代表例だが、信長には既に小泉首相が例えられているので、堀江氏には適用しない方がいいだろう。本人がその著書の中で云っているように、ここは「わらしべ長者」がふさわしいのではないか。
 まんが日本昔ばなしによると、「わらしべ…」は民俗学者・柳田邦男氏が採話したもので、額に汗して働かなくても物を転がして最終的にはお金もちになっていく若者が描かれている。「額に汗」は日本の伝統的な価値観でそれが美徳であったが、堀江氏はそれを否定、アンチテーゼとして違う生き方を強烈に打ち出した。
 それに加えて、ギャンブル資本主義という言葉もある。株で一発当てて大金持ちになる。しかし、この価値観が蔓延してしまうと世の中が駄目になってしまう。だから今回の“国策的な”捜査があったともいわれている。
 堀江氏は依然として容疑を否認している。自然発生し、経済活動を繰り返しているうちに巨大化した。もう実質的には無一文になってしまったらしいが、今回の諸容疑は一体どこまでが法律に触れることになるのだろうか。