バランス感覚

 小学生に“我慢”を教えるのは、適か不適か。と云うのは、「我慢なぞ人生にとって、決して好ましい徳目ではないので、うちの子には教えないで欲しい」と、主張する母親がいるからだ。
 ラジオの或番組で二宮金次郎が取り上げられた際、このような話が出たという。この母親は我慢を間違えているのではないか。考え方にバランスが取れていない。だが、無駄使いしないのは美徳である。教育の現場では、難しい課題が多い。生徒の家庭は様々で親たちの考え方もそれぞれ異なっている。先生もいろいろ。学校では単に知識の切り売りだけをやればいいと、僕は思う…。
 ここで諺を二つ。「虎穴に入らずんば、虎子を得ず」と「寄らば大樹の蔭」。これらは人の生き方に関して、どちらも一面の真実を表現しているが、全く正反対の思想が背景にある。自分の置かれた立場で、どちらの考え方に立つのかが決まると思う。
 総じて、物の見方や考え方は極端に偏るとよくない。我慢も倹約も放縦も自由も平等もその他、何もかもが調和が取れるといい。人間関係すべてにおいてバランス感覚が一番大切だと思う。