医は仁術というけれど

 人工透析患者を民間医院に紹介した見返りに現金を受け取った疑いで市民病院腎臓内科部長が逮捕された。愛知県での話。まさに医は算術である。とんでもない医者がいるもんだと驚いたが問題の根は深いらしい。当該患者は「お金を渡してまで患者確保に走るとは聞いたことがない」と云っている。私の知人に腎臓の悪い人がいるが近年開発された家庭用の人口透析機器を使っている。この機器の出現により病院は患者の増加が見込めなくなり苦境に陥ったとの見方もある。
 冷徹な経済の論理は医学の分野にも容赦なく押し寄せる。だが、その際、問題になるのは医は仁術だとの基本的考え方ではなかろうか。
 ところで、医者の話が出るといつも映画の「赤ひげ」と「白い巨塔」を思い出す。後者で、田宮二郎さん演じる財前五郎の相手に里見という名の良心の固まりのような内科医が登場する。蛇足だが、それを演じた田村高広さんは先日亡くなった。