盗作疑惑騒動

 僕は絵画の鑑賞が好きな方である。近く地元の有名な美術館で「江戸の誘惑」と銘打った肉筆浮世絵展(ボストン美術館所蔵)が開催されるのでぜひ見に行こうと思っている。
 その矢先、盗作問題が浮上した。今春の芸術選奨文部大臣賞に選ばれた洋画家、和田義彦氏の作品がイタリア人画家、アルベルト・スーギ氏の絵に酷似していたのだ。結果、盗作と判断せざるを得ないとのこと。本人は「プロが見ればその違いは明らか、創作だ」と主張したらしいが、それは通用しない。和田氏は「木を見て森を見ず」ではないか。視野が狭く大局に立った見方が出来ていない。テレビで評論家が選ぶ側の在り方にも言及していた。曰く、「日本の美術界はすごく内向きだとの批判がずいぶん前からある。身内というか、自分の所属する団体の人を賞に推薦するとか、そういったことが行われてきた。もっと広く目を外に向けないと国際的にすごい恥になる」。
 本人も選者諸氏も考えが甘い。お絵かきなんてものは所詮お坊ちゃま、お嬢ちゃまのお遊びなのかも知れないが、そうだったらなおさら盗作なんぞの下品な行為は止めてもらいたい。たとえ下手糞だろうが自分のもの(個性)がもっとも大切だとの芸術の第一歩が忘れられているなあと感じた次第であります。
 それにしても肉筆の浮世絵の迫力は凄いだろうな。早く見てみたい。僕は誘惑されるのである。