イメージが悪い

 村上ファンドに1千万円を投資していた日本銀行福井俊彦総裁は16日、「年によっては数百万円の利益の出ていることがあった」と話し、ファンドが高い利回りで運用されていたことを明らかにした。それに対し民主党は同日、自主的な辞職を求めることを正式に決めた。
 本人はその気は毛頭ないらしいが、もってのほかである。即、お辞めなさい。だいたい日銀といえば通貨の番人、ましてや、その長である。1国を代表する顔の一人である。たとえ当初の意図がどのようであれ(村上氏の考え方に賛同したとしても)、私利に奔ってはよろしくない。こういう人たちが公私の区別をつけなければ、外国から「日本はなんという下等な国か」と思われる。私はそんなふうに思われたくない。国家の品位を汚してしまっている。国連の安保理常任理事国になるくらいの一等国なら、まず高潔なイメージをそのセールスポントにしなければならないのに、なんたる様だ。
 例えが違うといわれるかも知れないが、私は映画俳優の故勝新太郎さんを思い出した。コカインで逮捕され、ハワイから呼び戻された。機中で「総理大臣の代わりはいくらでもいるが、俺の代わりはいないぞ」と大きなことを言っていた。だが、彼をテレビのコマーシャルに起用しようとしていた大手のビール会社は彼を降板させてしまった。イメージが悪く商品が売れなくなるのを懸念したからだ。それと同じで、福井さんも庶民の側からすればイメージが悪いのである。この件で彼の素晴らしい職業上の実績もどこかへ飛んでいって散ってしまった。
 いい機会だから(おかしな言い方だが)、日銀役職員の資産管理などを律する内規について再検討した方がいい。そうしないと市場からの信頼は得られないと思う。