その去就に注目

 日本銀行の福井総裁が辞めるか否か、日本中が注目している。国論が真っ二つに割れていると云っても過言ではない。法的な強制力は働かないという。日銀は政府からの独立機関だからなのだろうか。
 2日前、同総裁の個人(金融)資産が明らかになった。年金も貰っている。地下鉄の吊り革広告によると、ある週刊誌は「ごっつあん人生」などとの見出しで皮肉っている。今の日本は一部を除いて身分制の社会ではないが、日銀総裁といえば私には高貴な感じがするのだ。だとすると決してダーティなイメージがあってはならないと思う。どれだけ仕事の実績があろうが、その一点ですべてが失格なのだ。
 壱万円札のなかで福沢諭吉さんが泣いている。彼が今生きていたらどう云うだろうか。「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと云えり」。福井総裁が辞めないのは庶民感覚からいって、どうしてもおかしい。不公平感が気持ちの中に湧いてくるのを否定できない。国家の頂点に立つ人は自分の損得勘定を優先してはならない。ズルしてはいけない。